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「駄目か?」
タオルドライを再開しつつ聞いてくる健助に、少し考える。
「いや、良いんだけど……俺は金剛先生に連絡済みだけど、健助は無断で抜け出したと思われないかな」
「………バレなければ」
確かに、旅館に大部屋で雑魚寝ってわけでもないから、1グループずつ細かくは見ないとは思う。気になる裸眼は太朗くんのことだから露出しないようにしてくれるだろうし、話題も近況報告なら問題ない。大丈夫だろうと、分かった、と頷いた。
「眼帯貼り直してもらうだけで楽しくはないけど、それでも良かったら」
「行く」
即答だ……そんなに心配されてるんだなあと喜べば良いのか悲しめば良いのか迷って、ありがたいと思うことにした。すっかり彼の中の弟ポジションだけど、いつか健助に頼りにされてみたいな。
髪が乾いて歯を磨き終えた頃、大浴場から帰ってきた西岡たちにひとこと言ってコテージを離れた。
4月の夜風はちょうど良くて涼しい。じーっ、とどこからか虫の鳴く声が聞こえてくる。うっすらとした雲を被った月がぼやけて事務所までの道を照らしている。
「寒くないか?」
「うん、ちょうどいい。健助は?」
「少し暑い」
暑いんだ。暑がりなのにフード、大変そう。そうやって他愛なく明日の予定や今日の話をしながら歩いて、太朗くんの待つ事務所へ到着した。
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