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「何があった?」
事務所に戻ると、顔を見るなり健助が詰め寄る勢いで側まで駆けてきた。髪はぼさぼさ、眼鏡は汚れ眼帯は無く、襟首は伸びてよれよれの有様な上、出て行き方も悪かったので申し訳なくて、返した言葉は「ごめん」だ。
「いや、なんで謝るんだ」
「心配かけたから」
要約して経緯を説明している間に、乱れた髪を健助が手ぐしで整えてくれる。ちゃんと目が隠れるようにしてくれるところが健助らしいなあと思う。
「大体分かった。とりあえず、安心した、無事で。でもスタッフの人はどうした?」
「先生に連絡してくれてる」
太朗くんは蕗口を含めた俺たち3人が、トラブルに巻き込まれてコテージに戻れていないことを伝えるため、外でさっきの男たちが来ないか様子を見ながら先生に電話をしてくれている。事前に報告している俺はともかく、健助と蕗口は居ないことが分かったら叱られてしまうだろう。そうならないよう、見回り予定の時間より早く太朗くんは動いてくれた。
「そうじゃなくて……そうだけど」
「うん?」
「俺が行けば良かった」
肝心な時にいつも居ない、と健助はぽつり呟いた。そんなことはないし、留守を頼まれてちゃんと守ってくれたからスタッフさんたちがあの場に来れたのにな、と首を振る。
「いつもありがとう」
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