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「安心して眠気が来ちゃった感じ?」
大丈夫と返したのにあぐらをかいた前傾姿勢でうつらうつらしていて、太朗くんの声ではっと頭を持ち上げた。目も頭もぼーっとしている。
「寝てて良いよって言ってあげたいけど、眼帯貼ってからにしようね」
とりあえずお茶をどうぞ、とテーブルに置かれたマグカップに手を伸ばす。温かくて余計に眠たい。扉の閉まる音に促されて口を付けた。緑茶だ。カフェインで眠気飛ぶかな。
「宗弥くんもどうぞ」
「……どうも」
健助に勧めながら自分もお茶を飲んで、太朗くんはゆっくりと息を吐き出した。目を閉じていて何を考えているのかは分からない。じっと見ていると不意にまぶたが上がって、マグカップ越しに目が合い呼ばれる。
「眠そうな顔してるから、早く済ませた方がいいね。おいで」
健助と並んで座っている俺の、テーブルを挟んだ向かいに太朗くんは座っている。なのでそのまま前にずれるようにテーブルの横に移動して、太朗くんの方を向いた時に健助からは顔が見えにくいようにした。というより、そうなるように太朗くんが横にずれないでいるんだと思う。
「え……眼鏡すごい汚れてない?せめて砂は払ってからかけて」
「はい」
確かに明るい室内で外した眼鏡は、外灯の薄明かりの中で見た時よりも汚れて見えた。砂が原因で眼帯をする羽目になっているのに、これはちょっとどうかと自分でも思う。反省している間に太朗くんは昼間のよりひと回り大きな救急箱から、眼鏡拭きを探してくれていた。
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