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「あったあった、眼鏡拭き。置いといて良かった。はい、どーぞ」  渡された眼鏡拭きはポケットティッシュのような使い捨ての物で、これなら気兼ねなく使えそう。太朗くんがお昼と同じように手のアルコール消毒をしている間に、眼鏡の汚れを払うように落として、軽く拭く。もちろん砂が落ちてもいいように広げたティッシュの上で。白に茶が降りかかる様子に、改めて結構汚れていたことを知る。 「2人はなんで仲良くなったの?」  俺が眠ってしまわないように、健助が退屈しないように、必要な物をテーブルに並べながらも共通の話題を投げかけてくれる太朗くん。消毒液に洗浄綿、ティッシュと目薬、そして眼帯。並べられていくのを目で追いながら、ぼんやり答えを考えた。具体的なきっかけがあったわけでもなく、最初から妙に安心感があったように思う。どうしてかなあ、と思い出していると健助がさらりと一言。 「寮が同室なんで」  なるほどシンプル、それで良かったのか。 「そうなんだね。気が合う子が同室で良かったねえ」  微笑ましそうに太朗くんが笑った。これは完全に保護者目線の笑みだ。どうしよう、俺の保護者この場に2人もいる感じになってしまっているな。お兄ちゃん属性なのも一緒だ。 「はい、消毒するから目つむってね。危ないから寝ないように頑張って」  2人の共通点を見つけたところで、言われるままに両方のまぶたを閉じる。片方だけより両方閉じる方が簡単だから、というより、右は勝手についてきた。ウィンクは苦手だ。

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