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 室内を見渡す。健助も太郎くんも居ない。健助はコテージに帰ったんだろう。太朗くんは1階に居るかな?挨拶してから帰りたい。  ベッドのシーツを軽く手で整えながら、ふと、夢うつつで聞いた言葉を思い出した。夢だったか、そうじゃなくて現実だったとして、別の言葉を聞き間違えた可能性もある。けれど確かに、大事なものにするようにしっかりと抱きしめられた感覚が残っている。「守るから」と、あれはどちらだったんだろうか。 「……おはよ」  部屋を出ようと開けたドアの向こうに太朗くんが立っていた。ノックするところだったのか中途半端な位置で拳が握られている。 「おはよう。びっくりした……今ちょうど下りようと思ってたところだよ」 「はは、俺もびっくりした。タイミングばっちしだったな」  と言いつつ中に入ってきて、俺が開けたドアを太朗くんは閉めた。 「今から仕事なんだけど、その前にちょっとだけ話さないか」  すごく寝起きなんだけど……太朗くんだから良いか、と頷いて、ベッドの柵を背もたれがわりにして座り込む。同じように右隣に座った太朗くんの顔を覗き込んだ。 「聞きたいことがあるんだけど」 「ん?なになに?」  なんでちょっと嬉しそうなんだろう。声のトーンが上がったのに苦笑して、俺は自分の目を指差した。 「昨日の俺、自分でコンタクト外してた?」  太朗くんは目に見えてがっかりした。

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