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「本当か?何かされたとか……」 「ないよ」  どきっとしたけれど、否定すると健助は「そうか」と頷く。いつもそんなに追求してこないので助かる。ただ俺の身を案じてくれている。 「迎えに来てくれたのかな、ありがとう」 「ああ……頼まれた」  早朝から仕事があるから念のため迎えに来てあげて、と昨夜太朗くんが頼んでくれていたらしい。言われなくても来たけど……、と健助。確かにそうだろうなと思う。なんだろう、面倒見の良さというか、少し過保護なところが、健助と太朗くんって似ているのかもしれない。だから、最初から健助と居ると安心するような気がしたんだろうか。  納得していると、フードで分かりにくいけれど健助が首を傾げるような仕草をしたので、話題を変えた。 「昨日の夜寝ちゃってごめん。帰り大丈夫だった?」 「ん……あの後下が騒々しくなったけど」  俺が寝落ちてしばらく、例の男たちが騒いだらしい。待っても落ち着く様子がなかったので一人で帰ったそうだ。その時にちらりと聞こえた話によると、女の人は被害届を出さないみたい。ただ彼らは出入り禁止になりそうとのことで、少し安心した。 「騒いでたの全然気づかなかった。眼帯貼ってもらったとこまでしか記憶がない」 「よっぽど疲れてたんだな」  そうかもしれない。労うように頭を撫でられて、疲れが抜けていくような感じがした。

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