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健助のこういうところがかわいいなと思う。すごく素直。
「……笑い過ぎ」
「ごめ、いや、だって……ふふ、」
笑い止まない俺に痺れを切らして物理的に封じようとしたのか、大きな手が俺の頬から後頭部までを覆って固定された。びっくりして笑いは引っ込んだ。怒らせてしまったかな?
「健助、ごめ……」
「お前はかわいい」
「ん?」
「弟じゃない、かわいいのはお前だ、侑哉」
「えっ、と……」
何を言われているんだろうか。仕返し(?)にからかわれているんだろうか。開き直ったように「かわいい」を連発されてどうしたらいいのか分からなくなる。
「怒ったの?」
「違う、冗談じゃない。お前はかわいい。……うっかり出たんだ、本心が」
本心だと言われても喜んで良いのか怒れば良いのか。相変わらずフードで隠された表情がかわいいと発する口元を強調して、だんだんと気恥ずかしくなってきて目線を下げた。昨日のことも、太朗くんのこともあって、いつもと感覚が違うのかもしれない。
「分かった、分かったからもう良いよ」
「……悪い」
健助の手が離れて空気を冷たく感じたから、たぶん、俺の顔はまた赤くなっているんだろう。男だってしつこくかわいいと言われれば照れもするってことなんだな。言葉の力は恐ろしい。
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