157 / 329
81
この日の午前は自由行動で、午後からはクイズラリーが企画されていた。先生たちが問題を作ったらしく、反応が楽しみなのか昼食中そわそわしている先生がちらほら居たけれど、金剛先生はいつも通り。ふらっと俺たちのグループのテーブルに来たかと思ったら「堰は単独行動厳禁な。お前ら見守れよ」と言って去って行った。色々あったせいか園児ぐらいの扱いになってる……。たぶん、キャンプの間に次何か起きたら先生と行動することになるんだろうな、と予想して縮こまった。
「クイズあんま得意じゃないんだよなあ」
片付けの後配られたラリーの用紙をちらりと見て、桐嶋はすぐに目を背ける。いくつか問題が書かれてあって、先の問題の答えがヒントになっていたり次の問題の一部だったり、この一枚だけ見ても全然ピンとは来ない。すでに頭がこんがらがったような表情の桐嶋は、やっぱり体を動かす方が良いらしい。
「結構範囲も広いし、アスレチックエリアも入ってるから、ある程度運動するやつじゃない?」
蕗口がざっと目を通しながらそう言うので、エリアマップだけを改めて確認した桐嶋がにんまり笑った。
「じゃあオレ遠いとこ行く!問題解けるか分かんねーけど!」
なるほど、それも良いかもしれない。写真撮ってスマホのメッセージアプリに送ってもらって、みんなで考えればむしろ合理的じゃないか。と思って用紙から顔を上げると蕗口と目が合った。同じことを考えたみたい。
その場でグループチャットを作って、桐嶋はすぐに指定エリアの一番遠い所を目指して走って行き、残ったメンバーもふんわりと別れた。
ちゃんと意思疎通と役割の分担ができて、良いグループだな。
ともだちにシェアしよう!