なるほど！と思ってすぐに、つまりどういうこと？と首を傾げてしまう。そのままが答えではないだろう。問題は、夏の図形の“先で待つ”だ。そもそも今は春。 「あ～」 「確かに図形だ！でかい三角ってことだもんな！」 「夏の大三角の、先……？」 「えっと、つまりどういうことだってばよ」 　夏の大三角は二等辺三角形に近い。３つの一等星を繋いで、一番尖った方を指す矢印に見えなくもないけれど。 「３つの星なんだっけ」 「アルタイル、ベガ、デネブ」 「アルタイルが南寄り、ベガとデネブがやや北寄りで、夏の大三角としては東に見えるらしい」 　頭で方角を浮かべてみようとして訳が分からなくなっている間にも、メッセージは更新されていく。 「西へ行けってことか……？」 「抽象的過ぎない？」 　なるほど分からん、とスタンプが連投されて、しばらくチャットは沈黙した。 　キャンプ場の西エリアって言ったらどっちになるだろう、とラリー用紙を広げてマップを確認する。隣から健助、後ろから蕗口が覗き込んできて、３人で「あ」と声を洩らす。マップには問題の掲示先が「○」で記されているのだけど、これで夏の大三角を作れるんじゃないか、と思ったからだ。それを画像と共にチャットしてすぐ、前川からこんな返事が来た。 「この○不自然にでかいと思わない？答えはめ込むんじゃないか」