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何人目かで葉桜と踊ることができて少し会話した。グループの行動範囲が違っていて、キャンプ中言葉を交わしたのはこれが初めてだ。その声は相変わらず穏やかで、明るい。
「やっと会えました!ゆーやくん、お元気でしたか?あれ、目が……」
「うん、たぶんもう治ってる、元気だよ。葉桜は?」
「良かった。僕も元気です!」
1セット(?)が思ったよりも短いので、本当にこのぐらいしか話せなくて、「じゃあまた、お元気で~」みたいな感じで流れて行くのが名残惜しいやら可笑しいやら。
ところが前川と当たった時は、終始気まずそうだったので少しだけ長く感じてしまった。一切目を合わせようとしないのがなんだか申し訳なくなったけれど、別に嫌われたわけではないようで、離れる時は「また後で」と軽く手を振ってくれた。
「侑哉」
いつまで続くのかな、と思い始めた頃に当たったのは蕗口。ダンス中散々言われただろうけれど、労いの言葉をかけておく。
「おつかれ、すごかったね」
「はは、どーも。ときめいた?」
「ちょっとね」
いつもの軽口は否定しなかった。本当に少しときめいたと言うか照れてしまったから、否定するとたぶん嘘くさくなる。
「ちょっとかー」
2人でくるりと回る。いつもの笑みで蕗口がささやく。
「後で俺にちょっと時間ちょうだい」
即答できずに、切れ間がきて返事が出来なかった。目で追うとウインクを返される。
……ウインク券は買ってないのになあ。
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