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「ぼんやりしててほっとけなかったり、突き放すのかと思えば受け入れたりよく分かんねーって思ったけど、昨日の夜ではっきりした。バスで言った言葉は撤回する」  それがかかる言葉は「好きかも」だ。過去に半日、下手したら数時間一緒に遊んだだけで「つまらない」と何度か評価された俺だから、2日もあれば十分だと思う。ただこういう風にむやみに嫌いな人間に触れたいとは思わないだろう。嫌われなければ、それで良いかな。と、自分の中で受け入れてすぐ、続いた蕗口の言葉に呆気にとられた。 「侑哉のこと、好きだ」 「…………え?……あ、」  疑問を撤回して断定になったってこと?理解とともに安堵して間抜けな声が出た。容姿じゃない、中身を見て言ってくれた言葉だった。思えば蕗口は最初から、俺ではなく「俺への気持ちをテストする」と言っていたんだ。 「ありが」 「言っとくけど友達の好きじゃないから」  遮って付け足された言葉に口をつぐんでしまった。嫌われるよりは嬉しい、友情であれ愛情であれそれは変わりないことだ。けれど返す答えが変わってくる。 「……ごめん」 「まあそうだよな」  分かっていたというように、蕗口は微かに頷いた。 「俺がどうのって言うより、そういう気になれない、って雰囲気してる」  その通りだった。友達は欲しい。信頼できる人が欲しい。でも恋人は、たぶん、だめだ。 「ごめん」

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