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「……あっ、そうか」
あまり無いパターンにちょっとした感動を覚えた無言の間を、困惑と受け取ったのかすーっ、と蕗口が離れる。前まで周ってきて少し固い笑顔で「よろしくお願いします」と手を差し出された。テレビの婚活番組とかで見たことあるやつだ……これじゃあますます告白みたいじゃないか。
一度「ちょっと待った!」って割って入るのやってみたいんだよな、なんて想像しながら恐る恐るその手を取った。
「友達なら、喜んで」
あくまで友達だと強調してみたものの、いつもより隙のある笑顔を見せた蕗口。普段に比べて幼く見えるこっちが素の笑顔なのかもしれない。
「はー……、侑哉ならそう言ってくれると思ったけど、断られたらどうしようかと……」
ぎゅっと両手で握り返されて彼の本気を感じると、なんだか今さら申し訳ないような気持ちになってくる。そんなに喜んでもらえるような人間じゃないのに。なんて思うのは野暮だろうか。素直に喜べば良いのにな。
「改めて、よろしく」
「こちらこそ」
一度目とは意味の違う握手を交わす。明日になればまたバスに乗って寮に帰るけれど、今度は緊張せずに過ごせそう。にこにこしている彼を見てそう思えた。
「そろそろ戻ろうか」
「そうだね。先生に見つかるかもしれないし」
「いや、先生より宗弥にバレると厄介」
なんで健助?
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