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 歩き始めながら、なぜか健助の名前が出てきたことに疑問を持って蕗口へ視線を投げると、気付いた彼は「そりゃあ侑哉の」と不自然に言いかけてから目を逸らした。 「……過保護じゃん、アイツ」  他に言いたいことがあるように聞こえたけれど、わざわざ掘り下げることもないかとスルーする。  過保護と言われた健助が保護者の立ち位置なのは間違いないと思う。いつも俺を気遣ってくれて助けられているから。けれどふと、コテージを抜け出す前のことを思い出した。力強く抱きしめて、彼は俺の名を呼んだ。もしかするともう、弟くん関係なく俺自体が庇護対象という認識になっているのかもしれないな。「かわいいのはお前」とも言われたし……弟というよりペットに近い気もする。 「確かに心配されるかも」  脱走した犬みたいな。 「でしょ?侑哉を連れ出したって、俺が怒られると思うんだよね」 「俺の意思だけど……」 「関係ないだろうなー。たぶん俺が宗弥と逆の立場でも怒るし」  笑いながらそう言う蕗口に、俺は首を傾げる。なぜだろう、保護者が増えていく気がする。 「蕗口まで過保護?」  半分冗談で呟くと、違う、とはっきり否定された。 「俺のは嫉妬」

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