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結局健助が昼食を取ってきてくれると言うので甘えて、その時に教えてもらうことにした。先に自分の食事を済ませてほしいと伝えてあるので、その間に先生と話をしよう。
健助が出て行くと緋吉先生は保健室のドアをぴったりと閉め、俺の居るベッド周りのカーテンの端を開けて持ったまま少し考え込む仕草をした。
「隣に移動してもらおうかと思ったけど、お友達が食事を持ってきてくれた時に困るね。込み入った話だけどここで大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですが……」
わざわざ隣に移動する意味はあるのか考えてしまった。隣のベッドは目と鼻の先だ。先生は頷いてカーテンをきっちり閉めて丸椅子に座ると、にこりと笑う。
「志常の七不思議知ってます?」
「え?」
突然何の話だろう。緊張を和らげようとしてくれているのかな? 意図が分からないけれどとりあえず頷く。
「全部は知りませんが、少しなら」
「あれの一つにこの保健室の話があるんです」
確か、他の教室と比べて保健室と隣の多目的室が離れ過ぎているのは、この間の空間に秘密の部屋があるからだとか……。言われてみれば多目的室から遠い気もするけれど、秘密の部屋なんてありがちな、と思ったところで先生がこの話をした理由を察してしまった。
「そう、あれは真実です。秘密ってことはないけれど、隣に部屋があって、そこへ移ってもらおうかと」
「その部屋って」
「僕の仮眠室」
七不思議、好きな人が知ったらがっかりしそうだ。
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