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1年生の待機列に戻ると同情した様子で蕗口が出迎えてくれた。
「おかえり。うちの寮長が変な空気にしてごめん」
「怖かったよ」
分かってもらえたのが嬉しくて冗談混じりで答えたら、怖いに反応したのか勢いよく健助が立ち上がりかけたので慌てて蕗口と2人で止める。
「待った宗弥! あの人ちょっと空気読まないとこあるから許してあげて!」
「読まないってことはわざとじゃないか?」
蕗口のフォローがフォローになってなくて健助がそのまま腰を浮かせようとしたので、彼の肩を押さえていた俺までちょっと浮いた。
「健助落ち着いて! 冗談だから」
「本当か?」
「う、うん」
「そうか、じゃあ俺も冗談だ」
と言って健助は座り直したけれど、分かりにくい冗談だ。
「だよね、さすがにこんな衆人環視じゃ。やるなら人気のない所にしないと」
蕗口は三坂寮長のことがあまり好きじゃないのかな? 時々話し方にトゲがある。それに一体何を想定しているんだろう。
「堰くん!」
そこで名前を呼ばれて、そちらを見ると野中先輩が手を振っていた。いつの間にか2年生の対決が始まっていたらしい。今度こそ眼鏡の出番かな。
「はい。眼鏡ですか?」
「君のアイデンティティ眼鏡だと思ってんの?」
「違うんですか? ……もしかして腕に鉢巻巻いた人とかですか?」
腕を掲げてみたら野中先輩は勢いよく噴き出してから首をぶんぶんと横に振る。
「違うけど、そこのモンペ2人、堰くん借りてくぞ」
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