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「モンペ」  蕗口が復唱して、健助はちょっと嫌そうな空気を出したけれど、構わず野中先輩は俺の腕を引いて走り出す。 「寮対抗前に消費させて悪いねえ」  2人3脚の練習のおかげで少しは体力が上がったみたいで、まだ元気なので「大丈夫です」と答えた。  確認の待機列に着くと先輩は一瞬俺を振り返り、いたずらっ子のような笑顔を浮かべて、誰かに手を振った。目線的に相手は根津先輩かな? 「堰くんも振ったげて」  そう言われたので振ってみると、根津先輩はたぶん不満そうな顔をした。後輩から手を振られるなんて嫌だったのではないかと後悔する俺の横で、野中先輩はけらけらと笑っている。 「嫌がってましたよね?」 「そうね、俺のことをね」 「え?」 「これを見れば分かるよ」  ひらひらさせながら見せられたお題の紙は、ちょうど順番が来たので担当の人の手に渡って、微妙に焦らされた気分。 「あれ、また君……」  担当の人は俺のことを覚えていたみたい。あんまり2回借りられる人は居ないのかな。なんとなく気まずい空気になったので、聞かれる前に名乗ってしまおう。 「堰です」 「堰くん。えーと、今度のお題は何でしょう?」  尋ねながらも渡されたメモを確認して、担当の人が「これは」と呟いた。分かりにくいお題か、言いにくいお題か、どっちだろう。  マイクを向けられた野中先輩は得意げに発表する。

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