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 気になると言うよりは、気にかけてくれているとは思う。  ただ何て返せばいいのか分からなくて、「そうですよね」と曖昧に笑った。すると野中先輩が急に真剣な顔になって、上半身を少し倒してひそひそと話し始めるので、合わせて背を丸める。 「堰くんはどうなの」 「なにがですか?」 「あいつのこと、どう思ってる?」  丸めた背が少し伸びた。どうとは、なんだろう。それこそどういう回答を期待しているのか。 「すごい先輩だと思います」 「スゴイセンパイ」  少し考えてから答えると、なぜかカタコトで復唱された。 「あと、強い先輩?」 「ツヨイセンパイ」 「えっと……」 「大丈夫! もう分かった!」  ばっ! っと手のひらを向けて大丈夫と言うわりには頭を抱えている野中先輩。悪いことを言ったわけではないし変に気を使ったりもしていないから、根津先輩本人に伝わっても問題はないけれど、そわそわしてしまう。 「根津くんも面白いけど、君も面白いよ。推すわ」 「ありがとうございます……?」  向けられた手がいいねのポーズに変わった。よく分からないけど、お礼を返したら、なぜか野中先輩はとても喜んだ。 「上手くいってくれたら絶対毎日楽しいんだけど! 俺が!」 「そうなんですか」 「いやあ、根津くんの反応が楽しみだ」  途中から何の話をしているのか分からなくなってしまった。先輩が楽しそうだから良いかな。

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