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夏休みに入って2週目の後半には寮に残る生徒は3分の1ぐらいになった。普段そこまで話さない先輩が話しかけてくれたり、先生が様子を見に来てくれたり、いつもと違う空気があってこれはこれで楽しい。
宿題や筋トレをしつつのんびり過ごしていたある日、たまたま居合わせた談話室で突然寮長が「かくれんぼでもするか」と提案した。
「かくれんぼですか? 寮で?」
「ああ。人数が少ないから隠れやすいだろう。もちろん不在の部屋はNGで」
なんとなく集まって寛いでいた寮生たちは乗り気で、すぐにそこに居ない寮生を招集し始める。最終的に集まったのは40人ぐらい。
「鬼は俺が。1人だとさすがにあれだから……堰、手伝ってくれ」
「分かりました」
頷くと健助が頬杖を付いた。一緒に隠れたかったのかな。
寮長は危険な場所には隠れないこと、物を壊したり元に戻すのが困難な状態にしないこと、使って良い部屋は開けておくこと、などルールを簡単に付け加えて、3分の間に隠れるよう言った。みんなどこに隠れようかそわそわしながら出て行く。天井裏って声が聞こえたけど冗談だよね。探しに行くのも大変だ。
でもどうして急にかくれんぼなんだろう。
「退屈は良くない考えを起こすきっかけになるからな」
2人になった談話室で聞いてみようかと寮長を見たら、分かっていたみたいに答えがもらえた。なるほど。
「あと普通に楽しいだろ、こういうの」
「はい、好きです」
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