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期待しているクラスメイトは可哀想だけれど、体育祭でできただろう蕗口のファンクラブが執事喫茶に殺到しそうな予感がした。
ブーイングを受けた蕗口はにやりと笑って背を伸ばす。
「旦那様たち、もちろん来てくれるよね?」
彼がウインクをするのを予想して、何人かは目を覆ったり視線を逸らして対策していたけれど、数人は相変わらずうめき声を上げた。そろそろ耐性ついても良さそうなのに、すごいな。
「俺はもうウインクを食らわないっ!」
「他クラスに貢献してやるもんか!」
「……でも女の子たちいっぱい居るんじゃ?」
誰かの一言で執事喫茶のお客さんをどうすればこのクラスまで誘導できるかの話し合いが始まったのを見て、蕗口がため息混じりに「ところで」と話を戻した。
「宗弥が見た通りやる気ゼロなんだけど、侑哉励ましてやってくれない?」
励ますと言っても気持ちが分かるしなあ、と肩をすくめる。執事喫茶と聞いた時、納得と同時にうちのクラスじゃなくて良かったと思ってしまったぐらいだ。実際近い案も出ていたし。
「塩対応? の需要があるかもしれない」
「それ励ましなの?」
なんて言ったら良いのか分からなくてひねり出した言葉への困惑の気配に、「遊びに行くね」と誤魔化した。健助はしぶしぶといった感じで頷く。
「……侑哉が来るなら」
「うん、頑張ろう」
「俺も指名してね」
「指名制なの?」
蕗口は首を振った後、少し笑った。
「違うけど……たぶんそうなる」
殺到して整理券配られる事態になりそうってことかな。
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