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 いつもと変わりない桐嶋に、特に深い意味とかはなかったんだろうなと結論づけた。たぶん動物より人間が好きなんだと思う。彼の感情表現のストレートさを甘く見ていたな。  その後無事スーパーに辿り着いて段ボールを沢山譲ってもらえたけれど、長い坂を登って学園に戻り教室まで運ぶことを考えると憂鬱にもなる。段ボールって結構重いよね。  それでも2台のリヤカーをそれぞれ前から引くのと後ろから押すのとに分かれて頑張っていく。 「あちー!」 「溶けるー」  9月に入っても暑さは厳しく続いていて、今日は雲一つない快晴で直射日光を浴びる。その上で中々の重労働だ。汗が止まらない。眼鏡が汗と熱気でひどいことになっているのが気になるし、後ろのリヤカーから不穏な声が聞こえてくるのも気になる。 「手離すなよ? 絶対離すなよ? フリじゃないからな?」  フリに聞こえるな、と思っていたら「うわー!」と叫び声が上がって、何かを引きずる ような音が続いた。振り返って確認すると、ほんの一瞬力を抜いたらしく数メートル戻ってしまったみたいだった。まだ傾斜が緩やかな位置で良かったけれど、危ないから絶対真似しないでほしい。 「危ねーだろ!」 「ごめんて。汗で滑ったんだよ」 「大丈夫?」  上から声をかけると元気に「大丈夫」と返事が来た。心臓に良くない。  ほっとして前に向き直ると、汗でべたべたな前髪を横から掬われた。……これも心臓に良くない。

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