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第4話
「うふふ」アリシアはペンを白紙の紙に数十枚以上走らせている
ご機嫌モードである
「早く 続きが見たいですわ 姫様」
二人の女官も嬉しそうだ
「うふ ちょっと待ってて よし出来上がり」
「まあ!」「きゃああ!いいですわ」
アリシアは小説を書き始めていた 他にも絵本用の童話などもあり
添える絵も描いてる
「うふふ・・」ともかく楽しそうだ
しかし・・童話は子供向きで良いのだが
小説の方は腐女子向け いわゆるBL
アジェンダの祖父の黄金の王は 同性の恋人が多く
その手の書物を欲しがり わざわざ依頼というか命じて書かせていたが
・・・・その為に彼の代から 黒の国ではBL本が普及を始めるのだった
彼が知ったら とても喜んだことであろう 間違いなく
狂気乱舞したかも知れない
ついでながら・・・
こっそり・・BLな本がアジェンダの母で優しき水の女王と謡われた
エルテアの本棚にもそっと多数 隠されていたりした
もう一つ
生前の可愛い妹シルフニア王女の愛読者を見ようとしたアジェンダ
つい興味半分で見ようとしたアジェンダに対して 慌ててそれに気が付きた
兄さま見ちゃダメ!!と赤くなりながら抗議して止めるのだが・・
その本の内容は・・実はBL本だったりする!
・・二人が生きていたら アリシアと気があった事だろう
「あ、いけない ダンスの練習の時間ね 早く行かないと」
慌ててしまって 原稿をそのまま 机の上に置いて
出かける
‥女官たちに見せる為に 以前 書いた小説もである
ドアが半開きである
うっかり 鍵も忘れている
偶然 未来の夫である 黒の王 火焔の王アジェンダが通りかかる
ついでながら 何故かこの時サリューンも一緒だった
「ん、ドアが開いてる おや?」「あ・・これは」
「・・・・アリシア姫が書きものをしたようだが
随分と大量だな」
「・・・・ええと なになに」
横から眺めていたサリューンの顔が赤くなり 口元が歪む
アジェンダの方は きょとんとして 首をかしげていたが
やがて真剣に読みだす
「・・・ふむ 祖父が好みそうな作品傾向だな
・・・・・私には隠してたが 母や妹も同じ趣味のようだったし
内容も悪くない 欠点を強いて言えば・・」
「・・・・・どう見ても私がモデルですね 相手は誤魔化してますが・・」
サリューン
「そうだな 私のようだ まあ、他の者には分からないだろう」アジェンダ
アジェンダはニコニコと落ち着いて微笑んでいる
「あの、アジェンダ様」「どうした?サリューン」
「・・・その・・あの」
「良かったな 小説のモデルとは ふふ
ん・・こちらも読んでみるか ん~なかなか面白いじゃないか」
「あ・・」心の中で思うサリューン
あれは・・大昔からある
伝説の作者不明の小説(されてる) 今だに読まれてる
にやんこ王国の図書館にもある分だ
・・・・・300年後の俺の王宮の図書にもあった
ただし 内容が・・の事情で 子供でなく大人用の処にある
そこに忘れものをしたアリシア姫が戻ってくる
「あ・・・・あ‥アジェンダさま」
声が震えてるアリシア そして真っ青な女官たち
「ふむ なかなか面白い作品だ
これは私が預かるが よいかな ふふ
ああ、こちらの童話も良い
・・・・童話は姫の名前でよいかな?」
「は?」
「・・・ではまた姫 ふふふ」アジェンダの含み笑い
「あのあのあの・・・」
「何を焦ってるのかな?姫」
「ええええええっと」
そっとアリシアを引き寄せてキスをするアジェンダ
耳元で囁く
「・・・・初夜が怖いのではないかと心配してたが
大丈夫そうで安心した ふふ」
「しかし 想像と実体験は違うが・・ 心配しなくていい
結婚の儀がとても待ち遠しいが まだ薬師からの許可が下りない」
「・・・・祖父が見たらとても喜んだことだろう
愛してるアリシア姫」軽く頬にキス
それから・・
「では行こうかサリューン」 「はい」
二人は立ち去る 呆然とするアリシア姫
「・・・・その原稿」
「ああ、サリューン
本を出版する商会を持つ少し偏屈な貴族がこれから丁度 会いに来る
彼の趣味にも合うだろう 同性の恋人もいる事だから
・・・んん ペンネームは・・ああ 小説にあるな
よしよし」
「あの~~~僭越ながら そちらの作品はともかく
俺‥私たちがモデルのそちらは?~~~~~~~~~」
・・読者にはきっとモデルがバレます 思わず口に出そうになる
「何か問題でも?」 「いえ・・王様が構わないのなら」
「アリシア姫が こうまで才に恵まれてるとは 素晴らしい事だ ふふふ」
アジェンダは本好き
読書家である 面白い書物には目がない
祖父の趣味やサリューンの事で この手のものへの嫌悪感はない
ましてや愛するアリシア姫が書いたものである・・・
歴史にはアリシア姫の絵や文才の素晴らしさは記録にあり 有名である
運命の必然の時であった???
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