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蛇足

「まぁた、悪い大人だね〜。気に入った子を手篭めにしちゃってさ。」 「悪いかよ!僕はお気に入りを手元に置いて可愛がりたいタイプなの!」 クリスマス直前のあの夜、少しだけ計画が早まったけれど予定通り僕はお気に入りの後藤クンを手に入れた。 彼はいまではもう僕の身体に夢中で、ほぼ毎日の様に仕事終わりには僕の部屋へやってきて僕にその若い精を捧げてくれる。 特に彼を墜とすのに使ったショコラは効果てきめんで、昼であってもアレを口にすると顔を真っ赤にさせてもじもじしながら潤んだ瞳で僕を見つめる姿は可愛いすぎる。 そういえば、あれから後藤クンは彼氏と正式にお別れしたらしい。彼氏の方はとっくに後藤クンに愛想をつかしていたようだったし、後藤クンの方は僕への愛を切々と語っていたと、バイトの女の子が教えてくれた(笑) 後藤クンの事を思い出してニヤつく僕を白けた目で幼馴染が眺めため息をついた。 「どーでも良いけどさ、俺のショコラを悪い事に使うのやめてくれない?」 「そう言っても試食と言いながら毎回僕のところへ持ってくる方が悪いんだろ」 人見知りで嫁と僕くらいしか仲の良い人間が居ない幼馴染はやれやれと首を振る。 「ま、バイト漬けにして計画的に奪い取った後藤クンとやらを今度こそ大切にしなよ〜。俺は仕事に戻るわ。」 クリスマスが終わり、新年に向けてガレット・デ・ロアの仕込みに忙しくなるらしい。 店へ戻っていく幼馴染と入れ替わりに愛しの後藤クンがやってきた。すれ違いさまに幼馴染へ鋭い視線を投げてくれるのが、またまた僕の気分を良くしてくれる。 「後藤クンどうしたの?またショコラが食べたくなっちゃった?……♡」 end

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