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 ベッドの縁に、ふたりで腰掛けた。  ぐいっと沈んだところを、肩を支えてくれる。  あきの顔がちょっと近付いたので、目を閉じた。  小さなキス。  ゴールデンウィークに出かけたとき以来1度もしていなかったから、ドキドキしすぎて、それだけで倒れそうだった。  くちびるが離れたので目を開けると、焦点が合わないくらい近くに、あきの顔があった。  かっこよくて、綺麗な顔。 「きょうはキスだけ。怖いことも痛いこともしないから。ね?」 「うん……」  ちょっとだけそれ以上のことを考えていた自分を、殴りたくなった。  あきは、俺が人目を気にせずいられるところを選んでくれただけなのに。 「でも、キスはちょっと大人のでもいい?」 「おとな?」 「口あけて」  言われるままにあーっと開けると、「開けすぎ」と言ってちょっと笑われた。 「半開きでいいよ、このくらい」  言われた通りにうっすら開いた瞬間、あきの舌がぬっと入ってきた。 「んっ」  びっくりして身を引きそうになったのを、腰に手を回していた腕が、ぐっと(はば)む。  あきの舌が、ゆっくりと俺の口の中をなめていて、どうしていいか分からず、じっとしていた。 「……ン」  苦しくなってあごを跳ね上げると、口を離してくれた。 「ぷは」  少し泣きそうになりながらあきの顔を見ると、優しくいいこいいことなでてくれた。 「息を止めると辛いから、鼻でゆっくり呼吸してごらん。ほら」  そう言ってまた口づけて、舌を入れてくる。  言われたとおりに鼻からゆっくり息を吸うと、さっきみたくは苦しくなかった。  何度かそれを繰り返しているとコツがつかめてきて、だんだんキスが長くなってきた。  あきの舌が俺の舌をチロチロと触ってきて、真似をして少し動かしてみると、あきが気持ちよさそうに「ん」と言った。 「絡めて」 「なに?」 「舌、絡めるの。できる?」 「分かんない」  あきは顔を離すと、自分の舌をぺろっと出して、指差した。 「追いかけっこしよう。僕が逃げるから、深澄は捕まえて?」 「うん」  分かりやすいたとえが、先生っぽいなと思った。  あきの舌が入ってきて、上あごの方をなぞる。  それを追いかけるように舌を伸ばしたら、確かに絡まった。  気持ちいい。  少しずつ息が荒くなって、あきの服を握りしめる手が強くなる。  それに、少し勃起してるのが自分でも分かる。  でもきょうはしないとあきが言ってたから、そのことはなるべく考えないように、舌の動きにだけ集中するようにした。 「は……はぁ、……っ」  チュクチュクと音がして、すごくいやらしい気持ちになってくる。  息も荒い。  あきはどうかと思って薄目で見てみると、ちょっと頬が赤くて、余裕がなさそうに息を荒げててたから、おんなじに気持ちいいんだと分かって安心した。 「ん、はぁ……っ」  我慢しても、やっぱり足の間は感じていて、ちょっと泣きたくなってきた。  つかまってるあきのシャツを両手でぎゅっと握りしめると、急にあきが、ドンとのしかかってきた。 「わっ」  思い切りベッドの上にひっくり返る。  びっくりして目を見開くと、あきのひざが、俺のふとももの間に差し込まれていた。 「ん、……や……」  身をよじって逃げようとしたけど、体重をかけられたら、俺の膨らんだ部分があきのふとももの前に当たった。  あきは、優しく微笑む。 「深澄、勃ってる」 「ん……」  恥ずかしすぎてそっぽを向くと、あきはさらに体重をかけてきた。  お腹のあたりに、ゴリッとした感触。 「……あき?」  呼ぶと、眉尻を下げてあきがこちらを見た。 「同じ」  心臓が跳ねた。  こうなったらどうなっちゃうんだろう。想像もつかない。  でもここは、子供の俺がねだらなきゃダメだと思った。 「あき、したい」 「したい?」  大きくこくりとうなずく。  あきは俺の頬を手で包んで、触れるだけのキスをした。 「でも、深澄が想像してるのと違うかも」 「それでもいいよ」  あきが俺の前髪をさらっとなでて、おでこがあらわになった。 「深澄のおでこ、さらさら。可愛い」  ひとつ、キスを落とされる。  俺の首元に顔を埋めて、耳を軽く噛んだり、耳の後ろに口づけたりしながら、ささやいた。 「じゃあ、きょうはさわりっこしよっか」 「うん」  あきは、首の後ろから喉の辺りを何度もキスしながら、Tシャツの中に手を入れてきた。 「ぁ」  驚いて身じろぎすると、手を止めて首筋にキスをしてくれた。  ふっと体の力を抜くと、またあきの手が俺のシャツの中を探り出す。  そして、右の乳首をきゅっとつまんだ。 「あぁっ」  びっくりしすぎて、大きな声が出てしまった。  あきがどんな顔をしてるかは分からないけど、耳を食みながら、乳首をつまんだり弾いたり、くにくにと押したりしてくる。 「ん、……ん」  自分でも聞いたことがない、甘ったるい声が出る。  腰がひとりでに浮いて、たぶんあきはそれに気付いてるけど、手を止める様子はない。 「……っ、はぁ、……ッ……」  こんなところが気持ちいいなんて、知らなかった。  あきは体を少し起こすと、俺のシャツをめくって、左の乳首に吸い付いた。 「んんっ……」  体がびくっとする。  ちゅ、ちゅと吸う音と、舌で転がされる感じ。  左手はせわしなく動いたままで、どうにかなってしまいそうだった。 「……っ、あき」  ぺろっとなめたあきが、顔を上げた。 「気持ちいい?」 「ん」  絶対真っ赤になってる顔で答えると、あきはまた胸に顔を寄せて…… 「んンッ」  乳首を軽く噛んだ。 「ぁ、や、……ぁ」  ちゅうっと音を立てて吸い、おおげさになめる。 「ん……、ふぅ、…ん、ん……」  下が、痛いくらい張り詰めている。 「も、あき。むり」  たまらず腰を上げて押し付けると、乳首を触っていた手がそのまま下に伸びてきて、ジーパンのボタンにかかった。  ジッパーを下げられると、ほんの少し開放される。  それでも固く勃起したそれは窮屈にパンツを膨らませていて、早く触って欲しかった。 「ね、さわりっこってなに」 「いまからするよ」  あきも、自分のズボンに手をかけた。

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