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腰の下に、枕を重ねてくれた。
そして、お尻のところにあきのペニスがくっつく。
「ほんとにほんとに、痛かったり苦しかったらすぐ言ってね」
「やめちゃう?」
「……止まるだけだよ。やめないから大丈夫」
「分かった」
少し笑って、キスをして、ぐっと固いものが押しつけられた。
指より明らかに太いそれが、入るのか不安だ。
「あき、腸の壁って破ける?」
女のひとのアソコとは違って、挿入するようにはできていないんだ。
大丈夫かと心配になった。
あきは、笑ったりせず、穏やかな顔で俺の頭をなでた。
「セックスして破けたって話は聞かないね。優しくするから、安心して。ね」
「うん」
もう一度、ぐっと押し当てられる。そのまま、ぐいぐいと割って入ってきた。
「んん…………」
苦しい。思わず眉間にしわが寄る。爪が食い込むくらい、あきの腕を握りしめる。
ゆっくりゆっくり時間をかけて、最後まで入った。
「これで全部。大丈夫?」
「ちょっと苦しい」
これで本当に気持ちよくなるのか。いまのところ、苦しいという感覚しかない。
「少しだけ動くよ」
本当に、ちょっと体をゆするだけ。
しばらくしていると、少しずつスムーズに動くようになってきた。
あきの表情は苦しそうに真っ赤で……と言ってもたぶん、きついのではなく、我慢してるんだと思う。
本当はもっと動きたいのに、俺を傷つけないようにしてくれているんだと思ったら、愛しくてたまらなくなった。
「あき……もうちょっと動いて」
「うん」
引く動きが大きくなった。入ってくる時はゆっくりだから、痛くはない。
「ん……はぁ、ぁ」
さっきの気持ちいいところに、もう少しで当たりそう。
自分でも、腰を浮かせたりして探っていると、あきのそれがぐっと、さっきのところにあたった。
「ぁあっ」
「深澄」
「……っぁ、はぁ」
萎えていたものが、ゆるく勃ち上がる。
あきはそれをすぐに察知して、同じ動きを繰り返してくれた。
「ん、……ぁ、あっ」
恥ずかしい、けど、気持ちいい。
「深澄。これ?」
がくがくとうなずく。
あきが、ぐーっと体重をかけて、奥まで入ってきた。
「ぅあっ……」
一度引いて、同じようにもう1回。
「ぁあ、っはあ、……っ」
ぐねぐねといやらしい腰つきでペニスを抜き差ししながら、深いキスをしてくる。
「んん……、はぁ、あっ……ん」
「気持ちいい? 大丈夫?」
「…ン……きもちい……」
あいた手で、俺のペニスを握ってきた。
「……っ、はぁ、」
前も後ろもで、どうにかなってしまいそう。あきの瞳が、揺れている。
「ん、はぁ、あぁっ、……ぁ、」
腰は細かく抜き差しをしながら、手では大胆に扱かれる。
「……や、ぁあ」
「これはいや?」
「ん、ん……、ぁ、分かんな……はぁっ」
頭が回らない。
「あき、エッチするって……はぁ、こんなかんじなんだ……っ、」
「うん」
「…ん、おれ、あきとエッチしてる」
ちょっと苦しくて、気持ちよくて。幸せ。
「ぁ、あき」
目をつぶると、俺の首元に顔を埋めたあきが、低くうなった。
「あー……もう、深澄」
「ン、ぁ……はぁ」
「可愛い。ダメ。……っ、容赦ないね君は」
「……ん、なに」
「っ、優しくしたいんだけど」
あきが両手で俺の腰をつかんで、ぎゅうっとゆっくりした動きで、お腹の中を貫いた。
「んん……っ」
「深澄は僕を優しい大人でいさせてくれないね」
余裕がなさそう。
だけどあきは、深く繋がったまま腰を止めて、ぎゅーっと抱きしめてくれた。
「深澄。少し甘えてもいいかな」
「ん」
あきが、俺の耳を甘噛みする。
少しずつ腰を動かしながら、耳の周りをなめたり、耳の中に舌を入れてきたり。
いやらしい音が耳元に響いて、心臓がドクドクする。
「僕は基本的に温和で人畜無害な人間だと思ってるけど……深澄の前だと、そうはいかないときがある」
「たとえば?」
「こういうとき。めちゃくちゃにしちゃいそう」
抱きしめる腕が強くなった。
「ほんとは有害なの?」
変な聞き方をしてしまったと思ったけど、あきは、切なそうに笑ってうなずいた。
「とある青少年には有害かも。ごめんね、好きになっちゃって」
「なんで謝るの」
質問には答えず、少しずつ腰を動かし始めた。
「10こも年下の子に甘えちゃう。ダメな大人だなあ」
「っ、……あきはダメじゃないよ。かっこいい。ん……甘えたいなら甘えれば、…いいじゃん」
子供の俺が受け止められるのかは分からないけど、恋人なのだから、できるならそうして欲しい。
「深澄。僕の甘え方はね、悪質だよ」
「え?」
上体を起こし、俺を見つめる目が、ねだる子供みたいに見える。
「好きって言って欲しいな」
「……ん、すき。あき、すきだよ」
大きく腰を動かし始めた。自然と、上ずった声がでる。
あきの手は俺の腰や太ももをなで回しているけど、肝心なところには触ってくれない。
「ん……はぁ、はあっ、あ……」
「気持ちいい?」
「…ん、気持ちいい」
「僕のこと好き?」
「うん。だいすき」
「どうしたらもっと好きになってくれる?」
「……ん、もう全部…すき……はぁ」
あきは、うれしそうに頭をなでてくれる。
でも、欲しいところは触ってくれない。
腰の動きは大きく、深くなってゆく。
「可愛い。深澄、僕も大好きだよ」
「んん……、ぁ、はぁ、……っ、」
俺の鼓動はどんどん速くなっていって、あきの息遣いも荒い。
腰を引いて、浅いところの、さっき当たってた気持ちいいところをめがけて、何度も何度も突いてくる。
「ぁあっ……、あ、きもち……ん、ぁ……んッ」
「可愛いし、エッチだね。まじめな成瀬くん。誰も知らない」
「あ、言わないで……っ、はあ、」
「僕のこと思い浮かべて、エッチな想像してたんだもんね。こんな可愛い顔でひとりでしてたなんて。うれしいな」
ほほを包み、愛おしそうに微笑む。
でも、下半身をなでる手は、昂 る中心をよける。
固くなってゆくペニスを触って欲しくて、下半身がくねくねと波打った。
「ん………ン、はぁ、……や、ぁんっ」
「触って欲しい?」
ぶんぶんと首を縦に振る。
「あき、……ぁ、さわって……いじわるしないで」
あきは、ほほに口づけて、耳を噛んだ。
「もうちょっと、好きっていっぱい言ってくれないとやだなあ」
「……あ、あき……ん、すき。だいすき」
「ほんと?」
「んん、ぁ……っ、あき、だいすき。おねがい……はぁっ、はあ、さわって」
「まだ不安」
「はあ、ぁ……あき、大好き、……」
涙がこぼれてきた。
あきは、何度も何度もなでながら、涙をぬぐってくれる。
「深澄が思ってるようなかっこいい大人じゃないかも」
「……別にいいっ、俺もすぐ、……大人になるし…」
あきは、腰の動きを止めた。
目を開けてみると、びっくりした顔をしてしばらくこちらを見つめていた。
そして、ふにゃっと笑って、本当に幸せそうな顔をした。
「深澄、大好きだよ。ずっと大事にするから」
そう言って、俺のペニスをほわっと包んだ。
「あ……っ」
期待していた分、ただ触られただけで、とんでもなく気持ちいい。
中では、良いところをえぐりながら、奥深くへ腰を打ち込む。
扱く手は強弱をつけて刺激し、俺の先走りでぐちぐちと音を立てている。
「ぁあっ、ぁッ、はぁ……ん、ぁっ、あき、……ぁあっ、はぁんっ、ん……ッ、はあ」
「あ、……みすみ、ヤバい」
「……ッ、やだ、ぁ、あき、イッちゃう……」
もうちょっとこうしていたいのに、我慢ができない。
何度も背を反らして衝動を逃そうとするけど、それはそれで中が気持ちよくて、訳が分からなくなってしまう。
「深澄、イッていいよ……見せて、可愛く泣くところ」
「ああ……っ、も、はぁっ、あぁ……」
シーツを握る手が強くなる。我慢できない。
「はあ、ぁ、……ん、いく、イッ………ぁああっ!……!…………ッ……!」
お腹の上に、自分の精液が飛び散る。
あきも、あごを跳ね上げた。
「ぅあ、……深澄、……っイク」
ドンという衝撃とともに、最奥を突かれる。
「っ、…………ッ……っ!……ッ……」
長く長く抱きしめられ、俺は、ぽろぽろと泣いた。
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