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第10話

「ん?」 寝起きの頭でよく考えた。 兄?兄ってことは明里先輩の兄が昌樹さん? 考えなくても分かることなのに寝不足の一真には時間かかることだった。 「昌樹さんがお兄さん?」 「そうだよ?一真くん、隈酷いよ。お兄ちゃんがそうさせたんでしょ」 目線より下にしゃがみ込んだ明里先輩に手で目元に触れ前に感じた温もりが蘇る。 昌樹と同じ温かさに目を閉じ学生の頃の事を思い出す。 明里先輩との出会い、他の同級生より進みの遅かった自分に先輩として優しく教えてくれた事、小さい身体のに心は強くて正義感が強い所がこの人のそんな所に惹かれたんだ。 そんな人が好きな人と結ばれて幸せになった。 この人が選んだ人、選んだ人、だからこそ願うしかない。 「・・・明里先輩、俺昔あなたのこと好きでした。あなたのおかけで明里先輩に出会えて良かった、あなたのこと好きになって良かったなって思います。」 「うん、ありがとう!一真くんて優しいね。ここだけの話。お兄ちゃんってさ、昔から不器用な所あるだけど好きに人には夢中になって周り見えないの。それはやっぱり兄妹だね!お兄ちゃんのことよろしくね」 どこまで知っているのか分からない。けど明里先輩に言われたら進める気がする。 「あ!私、旦那に愛に行ってくるね!後は・・・2人で!」 ずっと昌樹は蚊帳の外で二人のやり取りは聞こえていなかったのだと隅にいる昌樹を見て思う。 出ていく寸前で明里先輩は昌樹の肩をトンと叩いて去っていく。 大きく息を吸ってソファーから立ち上がって身なりを整え昌樹の前に少しずつ進む。 貴方がどうも思ってるのか分からないけどもう後悔はしたくない。 後悔するなら伝えてから後悔したい。 「昌樹さん」 声と共に昌樹の肩が震えたのはわかる。 先程のキスはあなたにとって勝負なのだとわかる。 昌樹も1つの賭けだったのだろう。 あの行動が本当だったら結果はわかっている。けど確信はない。 「俺・・・」 遮るように昌樹の手を掴んで口元に持っていく。 「昌樹さん、俺、勘違いしたけど少しでも心に残ってるならあのキスに答えてもいいですか」 「・・・俺も言わせて」 『『貴方の事が好きです』』 募った雪と共に消えることの無いこの恋は止むことは無い。 貴方の事が大好きです。 募る雪とともに。END.

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