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第1話
「兄ちゃん、ほぐれるのが早くなったね」
次男・夏弥 の声は、面白がっているような、呆れているような。
「まだ人差し指しか入れてないのに、もう中がグチュグチュだよ。先週使ったにんにく唐辛子配合ローションほどの刺激はないみたいだけど、蜂蜜しょうが配合ローションのほうが効果は持続するのかも」
三男・秋良 は研究に没頭し、たぶん自分の指先周辺しか見ていない。
弟の人差し指を受け入れて、僕は左右の膝を大きく開く。充血して蜜をこぼし始めた雄蕊は弟に任せ、疼く左右の乳首を自分の指でつまんでくりくりねじった。甘くてくすぐったい、しゅわしゅわとした感覚が眉間まで立ち上り、自然に眉根が寄る。
「ん……ともす……灯 」
僕の乳首を庇ってくれた彼を思いながら、さらに意地悪く乳首の先を指の腹で擦って快楽を追い求めた。
『春樹 、気持ちいい? しゅわしゅわする?』
「うん、しゅわしゅわす……るっ。あ……、ともす……っ」
『エッチな顔。乳首が硬くこりこりに勃起してる。もっと触っていい?』
引っかかれて、僕は胸からペニスの先端まで甘い電流が走るのを感じる。
「はっ、ああ。ともすっ」
『しゅわしゅわがあふれそう? いかせてあげるよ、春樹』
さらに強く乳首をつまみ、僕はその衝撃でペニスから精液を噴き出した。
炭酸水のような快感が血液に乗って全身を駆け巡り、血管が怒張する耳許で、僕はビー玉を落とした瓶からラムネがあふれ出る音を聴いた。
「灯」
十五年前の夏、公園のベンチに並んで座り、一緒にラムネを飲んだ。たった一回のデートだった。
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