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第6話

「春樹、感じる?」 「か、感じる? 感じるって……あんっ」 指先で引っ掻くようにされた瞬間、勝手に鼻に掛かった声が出た。自分からこんなエッチな声が出るなんて思わなくて、思わず手で口を塞いで周囲を見回してしまった。 「春樹、感じたっ?」  灯の声は華やいでいた。 「感じた……のかな?」  ぼんやりしている僕に、灯はきちんと問い直してくれた。 「触られたとき、くすぐったいだけじゃなく、エッチな感じもした?」 「し、した」  下腹部に血液が集まってたぎるのを感じながら頷いた。灯は至近距離で顔を輝かせた。 「すごい。セックスみたい」 「セ……ックス、なの?」  言い慣れない単語を口にしながら目を見開く僕に、灯は柔らかく頷く。 「本当のセックスじゃないと思うけど、乳首を触ってエッチな声が出るなんて、セックスみたい。セックスごっこ!」 「ああ、セックスごっこ」  納得する僕に、灯はさらに身を乗り出し畳みかけてくる。 「もっとしたい!」  灯はいきなり僕の乳首を舐めた。飼い猫に手を舐められた経験しかない僕は、人間に身体を舐められてとてもびっくりした。 「えっ、あっ、あっ、ともすっ」  逃げ場のない狭い教卓の内側で、背中を壁に押しつけ顎を上げた。そのまま後ろに教卓が動いて、僕は床に仰向けに倒れ、灯は僕に覆いかぶさった。

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