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how did i accept snowy day 1
雪は嫌いだ。
豪雪地帯と呼ばれるど田舎で育った楓には、雪というのは天災だった。
降り積もる雪の重みでみしみしと軋む屋根がいつ崩れるか不安で眠れないし、加えて深夜の除雪車の振動もひどい。
まず水道が凍ることは覚悟しておかなければならないし、終わりのない雪かきをしながら、おれがなにか悪いことをしたのだろうかと何度も思うのだ。
そんな空から降る悪魔の埃が、この都会にもやってくるらしい。
『今年はホワイトクリスマスに』
テレビのニュースキャスターは、このフレーズが万人に受けいれられると思っているのだろう。ロマンチックな頭に雪国の現実をつきつけてやりたい。
「な〜にがホワ「ホワイトクリスマス!?ってなに?」
全力で悪態をついてやろうとした楓は、頭の上から飛んできた素っ頓狂な声に遮られた。
「…………」
「ねえ、かえで?聞いてる?まさか、ゆき?雪ふるの??」
ロマンチックな頭がここにもあった。
楓の頭を抱え込むようにしてテレビを覗き込む。楓の同居人、ウノだった。
彼はこの国よりずっと遠いあたたかな太陽の国で生まれ育った。
数ヶ月前にこの国へやってきて、数奇な出会いから今こうして楓と一緒に暮らしている。
「そーだよ、雪ふんの」
雪なんかで絶対に浮かれてやるかと思っている楓に盲点だった。
そうだった、ウノは雪をみたことがない。
「わあああ!まじで?すごい!どうしようかえで!」
「騒ぐな、そんなたいしたことじゃないから」
「だって雪って映画でしかみたことない!つめたい?おいしい?」
ウノはまだ見たことのない雪に想像を膨らませて一人でお祭り騒ぎだ。
楓は深く息を吸って、雪というものがどれだけ残酷であるか教え込んでやろうと口を開けたが、ふと思いとどまった。
”生まれて初めて”の体験をこの年ですることがあるだろうか。
毎日毎日同じ日常の繰り返しの楓に対して、外国人のウノは毎日が大冒険だ。ウノが日々見つけてくる新しい発見は、楓の心もやわらかく解きほぐす刺激であった。
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