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第3話

君を奪い去るなにかが、君の体の中に巣食っていたらどうしようかと思った。 君は君で、自分がおかしいのかと思って不安になっていた。 なんてことない。 ヒート前の不定愁訴だってさ。 ホルモンバランス崩れてますって。 ホントに、正体見たり枯れ尾花、だ。 「動きにくくないか?」 君が僕にかわいくおねだりのポーズをとる。 「なにが?」 「狭くて、動きにくくないかな、と……」 「その分、君と密着できる」 笑いながら君の高ぶりを撫でて、僕を受け入れる大事な場所に指を這わせる。 行為の時に声をあげるのを苦手とする君は、洗濯前の僕のシャツを咥えて声を押し殺す。 「どうしたの? そんなにシャツが気に入った?」 「ち、が……」 段々を追い詰められて君が涙目になるのが愛おしい。 いつもは僕を後ろから支えるように立つでしょう? そうすると包み守られているようで、僕は安心するのだけど、今は違う。 僕は君の体をおしひらき、僕に屈服させる。 「どうしてほしいか、ちゃんと教えてね? 我慢しちゃあだめだよ? ほら、どうしてほしい? 聞かせて?」 「さわ……て。いっぱい……」 「ここ? いやらしいくらいに、濡れてるね」 「ちがう……中……なか、いっぱい……」 「ちゃんと教えてくれて、ありがとう。大好きだよ」 「……はっぁ……あ……」 今回は枯れ尾花だったけど、僕は気がついてしまった。 君が好きだ。 本当に君が好きだ。 だから、もう、本気で求めていいよね。 本能に従って、いいよね。 「ねえ……」 「あっ…ああ…な、に……?」 甘い甘い君の声。 今僕が何をいっても、君はうなずくことしかしないだろう。 わかっていて僕は問いかける。 「本気で、セックスしていい?」 君が壊れるくらい求めて求めて求めつくして、食らい尽くして、いい? 君を失うかもしれない怖さを、忘れるくらい。 本能に従えば、いつも守られている僕がαで、君はΩ。 君は僕の唯一。 運命にだって逆らってみせよう。 枯れ尾花にだって渡さない。 君が好き。 <end>

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