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第2話
秘密基地に立て籠る。
二人で、体温を分け合おう。
「よかった」
「ん?」
「やっと君を手に入れたのに、君と一緒になったのに、失うことになったらどうしようかと思った」
「大丈夫、俺はここにいる」
「うん」
「ずっといる」
「うん……ずっと、いて」
「死ぬまで一緒だ」
「ダメ」
「ダメなのか?」
「ダメ。死んでも。その先も、ずっと一緒にいて」
「欲張りだな」
「困る?」
「いいや。上等だ」
くつくつと喉の奥で君が笑い声をたてる。
僕らの家の、大きなベッドの上に、君が作った秘密基地。
材料は僕の持ち物。
「こんな風になるなんて、自分がおかしいのかと思った……」
「習性って面白いよね」
「俺を抱くのも、習性?」
「違う。意地悪しないで。愛情だよ、知っているくせに」
君の素肌は僕の手に馴染むでしょう。
かりりと喉仏を噛んだら、君は甘い声をあげて僕にしがみつく。
普段は頼りになる君が、たおやかにはかなく色っぽくなるのが僕の前だけだなんて、至福。
君が自分で自分を持て余してしまって、どうしようもなくなって泣き言を言ってくれた。
僕のにおいがするものを集めてしまうとか、おかしいって。
だからΩの専門の病院にいった。
担当の医者はあっさりと「多分何もないと思いますけど、気になるなら検査しましょうか?」そういって一通りの検査をしてくれた。
そして告げられたのは、なんてことのない病名。
「うん、大丈夫。それ、「PMS(月経前症候群)」ですね。βの女性体でもよくあることでね、ホルモンバランス崩れて不定愁訴や体調不良やらでてくるの。あなたの場合はΩ特有の「巣作り行動」だから。安心して集めてしたいようにしてごらんなさいな」
そして出来上がったのが、ベッドの上の秘密基地。
なんてステキな僕らの巣。
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