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第2話

日差しが強い7月初め。 いつも通りの時間に家を出て学校へ向かえば、途中の十字路で見慣れた後ろ姿が見えた。 嬉しくて、自然と早足になる。 「鈴原っ」 まだ距離があったから少しだけ大きな声で呼べば、振り向いた彼が僕の好きな笑顔を見せてくれた。 「あぁ、古矢おはよう」 走る僕に笑いかけてから鈴原は向き直り、彼の前にいるらしい人物に話しかけていた。 近づいて初めて、鈴原が誰かといたことに気づく。 僕が鈴原のもとに着くよりも早く、鈴原といた人は別れを告げその場を去っていった。 ちらっとだけ見えた制服は近隣高校の男子制服だ。 鈴原と友達になって3ヵ月。 今日のように一緒に行くことも何度もあったけど、一度も見たことがない人だった。 「おはよ、今の中学んときの友達?見たことないや」 「ん?幼なじみ」 「幼なじみ?いーなぁ。僕いないんだよね、近所で同い年の子って。仲良いんだね」 純粋に羨ましいと思って口に出した言葉に、鈴原は微妙な笑みを作った。 「まぁね……今日、英語小テストだったよね。早く行こう、教科書見直さなきゃ」 「あ、うん」 なんか、話題を逸らされた気がする。 触れてはいけなかったんだろうか。 見た感じ普通に話してたから、仲が悪そうには見えなかったのに。 「そういや古矢、夏休みの補講って出る?」 「そのつもり。鈴原は?」 「後半出るかなー。二学期に向けて準備したいし」 「じゃあ一緒に受けよっ」 「そだねー」 夏休みは会う時間が減っちゃうって思ってたから、補講を一緒に受けられるのはとても嬉しいことだ。 思いがけない嬉しい予定ができて、僕はさっき感じた違和感など綺麗さっぱり忘れていた。

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