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第5話 刻まれた悪
『世界』
(『世界を手に入れるため』)
………だと、あなたは言った。
(この国を手に入れるためではなく、『世界を手に入れるため』だと)
「あなたはッ」
思い出せ
考えろ
あなたが手をかけた人間は誰だ。
国務大臣、軍部最高顧問、皇帝補佐官、執政官宰相……
全員
(軍事機密を知る者だ)
徹底抗戦を主張する彼らは本土玉砕戦を主張し、彼らの取ろうとした最終作戦は……
「メテオライト・ジェノサイド」
軍事衛星を落として、敵をこの星諸とも殲滅させる禁断の戦術だ。
軍事衛星操作の暗号を知る者をあなたは全員殺害し、暗号を知るあなた自身すら自らの手で!
「あなたこそっ」
この国に残らねばならない。
「生きねばならない!」
生きて、生きて、生きなければ。
悪逆の罪を被って終わってはならない。
この世界の命を繋げたあなたが、どうしてこの世界に残れないのだ。
「そんな不条理……」
「………………こわしてはいけない」
「陛下!」
「おまえが生きろ」
イガラシ少佐……
***
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