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第8話 共に見た空の色

「どこに行くんだ?」 声が……… 「あの紅葉は、どこに流れて行くんだろうな」 巡った。 「まるで河を流れているようだな。こんなに美しい紅葉を見た事がない」 深紅を映した瞳に光が射した。 風が流れ、雲が散り、空が動く。 止まっていた時間が動き始める。 空の色をくくった紅葉が今、風の中でささめいている。 「なぜ………」 あなたの唇が声を紡ぐ。 私の手を握って、私の眼を映した。 空より深い蒼い瞳に。 「驚かれているのです?兄上」 あなたの時は止まっている。 過去の中で あなたの記憶は欠損している。 先帝である兄君は、もういない。 私を兄と呼んで、記憶を書き換えて、改竄し、そうやって壊れそうな心をどうにか保っているのだ。意識の深層で…… 「私は………」 「どうされましたか?」 いぶかしげに見上げたあなたの視界を遮る。 この手で、瞼を覆って。 あなたが泣いていたから 「お前のお兄様だよ」

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