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可愛い君(1)

【24時間後に地球壊滅! 貴方ならどう過ごしますか?】と、そんなことが書かれた雑誌のページかなんかを隣の席の横沢が俺のところに持ってきた。さっきまで握りしめていたのだろう。気になるくらいにシワが目立つ。くしゃくしゃじゃん。 「はぁ……、」 その紙と横沢の顔を交互に見て、ため息が漏れた。紙に書いてあることはくだらないのに、それに合わない真剣な顔を横沢がしていたから。 まったく、本当にいつも唐突だな。 いきなりこんなものを持ってきて、俺にどうして欲しいんだか。 だいたい24時間後に地球壊滅だと言われても、俺たちが死ぬまでにそんなことは起こらないだろうし、たらればとしてそれを考えてみたところで、俺が得することなんか何もない。考えるだけ無駄だし、考える気にもならない。 だけど、こんなくだらない質問を真顔で俺に見せにきたコイツの空っぽな頭は最高だ。やっぱりバカ。 「なぁ、戸田」 「あ?」 「お前ならどーするよ」 「知らん。24時間で地球は壊滅しない。お前の頭だけだぞ、壊滅しかけてんのは」 「ひどい!」 ちゃんと真剣に答えてよ、と拗ねる横沢に、答える価値もないと真剣に答えれば、聞こえて来たのはおっきなため息。 何なんだ。お前にそんなため息をつく資格があるとでも?

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