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可愛い君(2)
「ここに載ってるカップルたちは、地球が滅ぶ最後の1秒まで愛する人と一緒にいたい、とか何とか答えてるんですけどね……!」
「へぇ、キモいな」
目をキラキラさせながらそんなことを言う横沢にそう返せば、「何で!」と興奮したように叫び、またその紙を握りしめる。あーあ、くしゃくしゃを超えてぐしゃぐしゃになってんぞ、それ。
そこまで強く握る程に何を必死になってるんだか……と考えたところで、横沢がどうしてこれを持ってきたのか分かった。途端に俺の口元が緩む。コイツ、バカすぎるだろ。
「何でって言われても、キモいじゃんとしか言えねぇよ。つか、何なのそれ。街頭インタビュー?」
「うん」
「……で? それ持って来たのは、お前もそんなキモい言葉を俺に言ってほしかったから?」
「うん」
照れたのか、横沢の頬が赤くなった。さっきまで握っていたその紙を今度は広げ、どうしようもないだろうにシワを伸ばし始める。
あぁコイツ、俺に「地球が滅ぶ最後の最後まで、お前と一緒に過ごしたい」と、そう言ってもらえることを期待してるな?
だけど、残念。俺はお前が思うほど優しくはない。
「哀れだなお前、言うわけないだろ」
「……ひどい! 俺ら恋人じゃん!」
「そうだったの?」
「と、戸田!」
半泣きになりながら、横沢が俺の肩を掴んだ。そのまま前後に、がんがん揺らされる。ちょっと待って激しすぎ。頭痛いし、脳ミソなんかやばい感じ。
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