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今度は俺の番(13)

あぁ、こいつには出会った時から俺は、ずっと振り回されっぱなしだなぁ。今度は俺が、里田を振り回すのもいいかもしれない。 「なぁ、」 自覚するのに時間はかかったけれど、俺もどうやら里田のことが好きみたいだ。 「俺もお前が好き」   抱きしめたまま、耳元でそう囁いた。 「……え?」 だから同じように、お前が俺のことを好きで、俺を今まで振り回してきたみたいに、俺もこれからずっとお前のことを振り回してやる。 俺も里田もひねくれているし、面倒な性格をしているから、こうして両想いになったところでこれから先甘い展開なんて望めないかもしれない。だけど。 「俺はやられたらやり返す主義なんだ。10倍にしてね」 「なに、それ」 「今決めた。お前が俺を振り回してきた年数の10倍は傍にいてもらわねぇとな」 こんなことを言ってしまうくらいには、里田のこと好きみたいだから。笑えるよな。不器用な愛情表現だなんて言ってたけれど、里田の方がよっぽど素直だった。 「涼くん、」 今までの分、少しずつ返してやるさ。 それでもいい? 「どうする? 逃げる?」 「……逃げない」 「本当に?」 「うん……。でも、意地悪はしないで、」 「さぁ、どうだろ?」 抱きしめていた手を離し、一人立ち上がると玄関のドアを開けた。さっきまで抱きしめていたのに俺が突然そんなことをするから、引きつった顔で里田が俺を見つめる。   「……意地悪はしないよ。おいで」 買ってきたケーキを一緒に食べようとそう言えば、里田はあの顔で笑ってくれた。 END 雨月リン様に素敵なイメイラをいただきました。ブログに掲載していますのでご覧くださいませ。

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