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風船に想いを込めよう(1)
“好き”という言葉は、たったの二文字だけれど。僕にとっては、とても大きな力のある言葉だ。
大好きな彼の隣にいて、同じ空間を共有しているだけでもちろん幸せに思う。でも、見つめ合って笑って、好きだよって言われたら、その幸せが何倍にも膨れていく。
だから僕は何度だって伝えるんだ。好きってね。
「まぁくん」
「なに」
「好き」
「知ってる」
だけどね、まぁくんは僕にその言葉をくれないの。いつもこんな感じで、まるで僕のことどうでもいいみたいに。
学校の帰りにお互いの家に寄って、必ず二人で課題を終わらせることが日課。親も仲良しで、たまにご飯もごちそうになることもある。
こんなふうにせっかく毎日二人でいられる時間があるのに、幸せは膨らまないの。僕が一生懸命ふぅふぅって息を入れているのに、風船はいつまでもしぼんだまま。
「まぁくん」
「分かってるってば」
「好き」
「何度も言うなよ」
しょぼんとして彼を見つめれば、まぁくんは真剣に課題に取り組んでいる。合わない視線が悲しい。僕の視界には、伏せられた切れ長の目と長い睫毛しか入らなくて。色っぽくて好きだけれど、まぁくんは課題にばかり集中しているし、僕はいつもこの顔しか見られないんだ。
……ねぇ、まぁくん。にこにこと笑って、三日月みたいになった目も見たいな。
「まぁくん」
「はいはい」
……どうやら膨らまそうと無理をしすぎたみたい。呼吸が苦しい。
まぁくん、僕ね、すごく胸が痛いの。
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