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風船に想いを込めよう(2)

「まぁくん」 「なに」 「僕は眠る」 「は?」 やっと顔を上げてくれた。でも呆れて僕を見ているまぁくん。あーあ、でもね、見たいのはその顔じゃなかったの。 僕は、彼から目線を逸らした。こっちを向いて欲しかったくせに、どうしてか逸らしたくなった。うつ伏せになって、口をきゅっと結ぶ。 「……胸が痛いから、眠るんだ。眠ったら痛いのも取れるはず」 「なんだそりゃ」 「夢の中ではね、きっと風船が膨らむから」 「お前もう夢の中にいるだろ。頭大丈夫か?」 「風船、膨らむといいな」 おやすみ、とぼそり呟いた。瞼が重たくなって、すぐに眠くなる。 ぼんやりと、風船が見えてきた。僕の大事な、真っ赤できれいな風船。早く膨らんで。大きく大きく膨らんで。それから自由に空を飛ぶんだ。好きの気持ちを、いっぱいにして。 ◇ 野原に一人でぽつんと座って、風船に好きの気持ちをいっぱいに詰める。小さな可愛いお花に囲まれて、気分もすごくいい。だけどまだ、風船は膨らんでくれない。 ……僕の風船は膨らまないのかな。 少し休憩しよう、そう思って草の上に寝そべった。目を閉じて大きく深呼吸をする。首にちくちくと草がささる感じがなんだか落ち着くな。 僕は青い空を見ようと目をゆっくりと開けた。 「あれ……?」 目を開けたのに空が見えない。どうやら寝ころぶ僕を誰かがのぞき込んでるみたいだ。 「お前こんなところで何してんだ?」 「まぁくん……?」

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