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風船に想いを込めよう(3)
大好きなまぁくんの声が聞こえる。瞼を手の甲で軽くこすって、それからじっと見つめると、僕をのぞき込んでいたのは、やっぱりまぁくんだった。……ねぇ、僕に会いに来てくれたの?
「まぁくんだ」
「うん」
寝そべっている僕の横に座ると、まぁくんは優しく頭を撫でてくれた。
「僕、まぁくんが大好き」
その手にすりすりと甘え、いつも口にしているその言葉をまた、彼に向ける。はいはいって、たとえ適当に返されても、それでもやっぱり何度だって伝えたくなるから。
「うん、知ってる」
「まぁくん」
「……俺も、お前が好き」
「え?」
「すっげぇ好き。……大好き」
ぷうっと、風船が膨らんだ。大きく大きく膨らんで、少しずつ空に昇っていく。
「まぁくん、だぁーいすき!」
大きな声でそう叫び、僕は起きあがってまぁくんに抱きついた。風船はもっと大きくなって、どんどん昇っていく。好きの気持ちをいっぱいにして。
僕はまぁくんの手を握ると、空へと消えていく風船に願い事をした。
まぁくんとずっと一緒にいられますように。
◇
「……ん、」
重い瞼をゆっくりと開ける。けっこう寝ていたかも? と時計を見ようとした時、視界にまぁくんの寝顔が入ってきた。
まぁくんが眠ってる。
少し新鮮に思える彼の寝顔に、ふふっとなんだか幸せになる。長いまつげに触れたくなって、そっと手を伸ばそうとした。
……けど、手が動かない。
「ん?」
不思議に思って見てみると、僕の手にまぁくんの指が絡んでいた。
「……っ、」
もしかして、と胸が高鳴る。
まぁくんも同じ夢を見ていた? だから出てきてくれたの?
ふにゃりと、口元が緩む。まぁくん、大好きだよ。
僕はゆっくりと目を閉じた。
もう一度、一緒に同じ夢を見ようね。
END
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