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次に目が合う時には。(2)

いつだったかなぁ。想いを伝えることは、友人としての関係を壊すことになるかもしれない恐怖も同時に抱えているんだ、と言った誰かに、それは告白される方も同じだろうよってぼそりと返した彼の言葉が頭から離れずにいる。俺が気持ちを伝えることで、もしかしたら俺も、彼も、友人を無くすことになってしまうかもしれないのだ。 だからこの想いは伝えない。俺と、彼のために。今の心地良い友人関係を続けて行くために。 そうなるとやはり、俺がうっかり気持ちを伝えてしまわないような、そんな距離感を保つべきだろう。 「何も知らないで勝手な野郎だな」 「え? 何のこと? 見に行ったらダメなの?」 「そこじゃあないし、来るなって言ってもお前は来るだろう」 「うん。勝手に行く」 「はぁ……」 荷物をまとめ終え、鞄を肩に掛けた。座って俺を待っていた彼も立ち上がり、隣に並ぶ。一瞬当たった肩にびくりとして、彼から半歩分離れて歩いた。 「部活の時に、キャーキャー言ってお前の応援をしてもいい?」 そんな俺を気にすることなく、彼は冗談を言う余裕さを見せる。 「やめろ、大人しく見とけバカ」 「三谷く~ん! 頑張ってぇ~!」 体をくねくねさせて高めの声を出した。それが女子のマネだとしたら相当失礼だと気づいていないのか。 「……神田、いい加減にしろ。一緒に帰ってやらないからな」 「ごめんってば~」 俺も本気では怒っていないと分かっているからだろう。彼は真面目に謝ることはなく、まだ高い声のままそう言った。俺はわざとため息をついてみせ、彼の歩幅よりも大きく歩き距離をあけた。 「……本当、勝手だよなぁ」 「ん? 何か言った?」 「何も言ってない」 「……ってぇ!」 俺はすぐに追い付いてきて肩に手を回してきた彼の腹に肘を入れると、痛いと立ち止まった彼を振り返って見ることもなく、置きざりにして部室へと急いだ。

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