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いつまで待たせるの?(10)
無理矢理やって傷つけたくなくて、今までさんざん我慢してきた。だけど、もう我慢しなくていいんだろう?
俺は、両手で義明の頬を包み込んだ。ふにゃりと笑って、それから義明が目を閉じる。ゆっくりと、顔を近づけ、三度目のキスもまたおでこへと落とした。それが不満だと言うように唸る義明に黙ってろと耳元で囁き、ついでに耳にもキスをする。そのまま下りていき首筋に舌を這わせ、再び顔へと戻り、鼻と頬にもキスをする。
「たか、ゆき!」
「はいはい」
そして、最後に唇にキスをして。それから──……。
◇
「ん……」
じわりと体に滲む汗のうっとおしさで目を覚ますと、義明がぴったりと俺にくっついて寝ていた。そっと柔らかな髪に触れて遊んでいると、義明が目を覚まし、顔を上げた。
まだ寝ぼけているんだろう、その無防備な表情はあまりにも可愛すぎて。おはようのキスをすると、ふにゃりと笑ってそれからまた目を閉じてしまった。
寝てしまってはつまらないからって、少し苛めてやろうと義明の体を見ると、体中に散らばる赤い斑点がやたら目に入ってくる。
斑点だけじゃあない、くっきりとした歯形まで。
昨日の自分はどれだけ余裕がなかったのだろうかと、恥ずかしさで気まずくなり、それが見えないように、義明を抱きしめた。
それからなんとなくぼんやりと、こういう朝もいいなとそんなことを思った。これからは義明の家じゃあなくて、毎回俺の家でいいな。何も我慢することなく同じベッドで寝ればいい。もうこの想いで悩むことはないのだから。
でもそれなら、いっそのこと一緒に住んだ方がいいに決まっている。二人の会社からちょうどの距離くらいにあるところを借りて、毎日一緒にいられる方がいい。
同じ家に帰るとか、最高すぎるだろ。
義明が起きたら真っ先に話してみよう。でもそれまで俺ももう少し寝ようかな。
伝えた時の反応を想像して幸せを噛みしめながら、俺は義明の頭に顎を乗せるようにしてゆっくりと目を閉じた。
END
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