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第1話
何故、こんな性があるのかわからない。
社会的地位が高く、優秀な遺伝子を持つα
一般家庭に産まれても、その優秀さゆえに、
出世も早く、肉体的にも頑丈に出来ている。
経済的にも自立出来ているので、
子供を望まないα同士の結婚は
長続きはしないとも言われている。
社会的地位の低く、能力の低いΩ
発情期には体調を崩しやすく、
妊娠もできる為、男であっても
まともな仕事に就くことも難しい。
故に出世も望めない。
その為に、地位が低いと言われている。
αと番になれれば、αを出産できる可能性が
高い、とも言われている。
β
βとΩが番ってもαを産む可能性は低い。
βが産まれてくることが大半だ。
恋愛は自由に出来るが、『運命の番 』が存在する、という都市伝説もある。
αとΩ限定の話にはなるが、出会った瞬間に
「運命」を感じるらしい。
それが事実かどうかは、僕は知らない。
少なくても僕の両親は父がαだが、母はβだ。
つまり父は『運命の番』には出会っていない。
このふたつの性は少数だが存在する。
αは人口の0.5%であり、
Ωであればさらに減り0.3%だ
人間の大半はβと呼ばれる普通の男女だ。
そのβ同士からも稀にαやΩが
生まれることもある。
しかもΩ性は男女問わず妊娠ができる。
発情期があり、抑制剤を飲まないと、
フェロモン、と呼ばれる誘惑をする
匂いを出し、αやβの男性を惑わし、
襲われてしまう、という事件が
テレビは日々報道している。
初めての発情期が迎えた小中学生が、
被害者の大半を占める。
Ωは性交中にαに首の後ろを噛まれれば
「番」となり、Ωはαの支配下に入る。
もちろん、愛されているΩもいるので、
支配という言葉は正当では無いかもしれない。
αは複数の番を持てるが、
Ωはその番が唯一となる。
一夫多妻のような、愛人になることも多い。
1度噛まれてしまって、番を解除されたΩは
その絶望感に抑制剤を飲むことを忘れ、
発情期 に耐えきれずに
大半のΩは気が触れて、狂ってしまうか、
自らの死を選んでしまう、と言われている。
その選択権だってαの自由でΩには無い。
けれど、それはβにも言えることではないだろうか?Ωはその比重が少し重いだけ。
けれどそれも見たことがないので、
本当かどうかは謎に包まれたままだ。
ニュースでたまに報道される程度の
情報では あるが……
何故、こんなにΩについて
語っているかと言うと、
僕自身が『Ω 』だからだ。
『運命の番』なんて信じてはいないけれど、
相手がそれを感じてしまうと、強姦 中に
強引に噛まれる場合もあるという。
Ωだけの風俗もあるくらいだ。
捨てられたΩが唯一、救われる場所
なのかもしれない。
出来ることなら、その選択肢は避けたいが……
捨てられたΩの再就職先としては、
そこが1番最適のようだ。死を選ぶか、
躰を売ることを選ぶか、それしか選択肢がない
だから、Ωにはチョーカーと呼ばれる
それを防ぐための防具がある。
ひとつの問題は、それでΩだと言いふらして
歩いているようなものだ、ということだ。
発情期が来ると、甘いフェロモンを出す。
β女性の生理と変わらないはずなのに、
Ωは男女問わず、フェロモンを垂れ流し、
男を誘惑する。
それが危険だとわかっている為の抑制剤が
処方される。それはαにも言えることでも
あった。α専用の抑制剤も存在する。
誰に対してもがっついて、
番を作り続けられるαだって
ほんの一握りの上級国民と呼ばれる
有能な遺伝子を持つ者だ。
経済的余裕がないのであれば、
αであってもΩを囲うことなど
出来ないからだ。
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