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第2話

生まれてから直ぐには特別性はわからない。 見目はβの状態と同じに生まれてくるからだ。 3歳児になる頃に血液検査で調べることを 強制されている。検診があるのもその為だ。 というのも、その性によって教育されていく 内容が変わってくるからだ。 ‪α‬は‪α‬らしくある為の教育を。 αだからといって最初から 上流国民であるとは限らない。 そして無闇やたらにΩを襲わないように。 Ωは身を守るための教育を。 βは通常の教育を。 性教育には変わりないが、Ωには特別な フェロモンを出す特性がある。 発情期がいつ来るのか、 それに個体差があるとこが問題なのだ。 Ωだとわかっていても、いつ発情期が 来るのかわからないから、 一定の年齢になると、 抑制剤を持たされるのだが、それが効く 時間差も個体差がある。 まだ、幼すぎて持ち歩かないΩも多い。 女性の生理と変わらないそれは、 急遽訪れて、その匂いに誘われ、 理性を失ったαやβに襲われる事件が 後を絶たないのだ。 突然のラット状態では、抑制剤を飲むのも 間に合わないらしい。 甘い蜜に誘われて花の蜜を吸わずには いられない蜂のようになってしまうという。 どうせなら、ウツボカズラにでも 引っかかって、そのまま再起不能に なってしまえばいいのに…… 無闇に番にされないためのチョーカーは 常に身につけてなければならない。 妊娠させたにも関わらず、番になることを 拒否する人間が多いからだ。 もしくは未成年に対する淫行行為として 犯罪となる場合が多いこともある。 数が少ないとはいえ、Ωは常にその性を 晒して生きていかなければならない。 チョーカーをつけている、というのは そういうことを意味する。 幼き日の強姦(レイプ)がトラウマになり、 発情期が来なくなったりする例も少なくない。 発情期のこないΩはβと何ら変わりない。 が、恋愛対象は男女問わず男性かαになる。 男性でも妊娠できる体の所為だ。 そんな身体なら、Ωは女性だけで いいのでは無いのだろうか? そう思うがαの女性との間に Ωの女性でも出産はできる。 逆をいえばαの女性に子宮はない。 体の作りは女性なのだが、セックスの時は 両性有具のような状態で胸もペニスも存在する 性的興奮をすると、男性のように 勃起するらしい。お互いにヒートの状態に なることをラット状態というらしい。 同性同士の結婚もその性別によって、 認められているのはその為だ。 『運命の番』と出会えれば、全てが解消する、 という都市伝説はあるものの、 そんな都合の良い出会いなんて、 簡単に落ちてる訳ではない。 ただ、興味はあった。 『運命の番』とやらに出会った瞬間、 というものに…… Ωに生まれてしまったが為に、男でありながら 男性としての機能は持ち合わせていない。 射精は出来るが、そこに子種は存在しない。 体の作りは女性と変わらないのだ。 子宮があり、発情期になれば濡れるし、 αや男性を受け入れることができるからだ。 普通の男……もしくは女に生まれたかった…… それが僕の正直な気持ちだった。

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