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第41話エピローグ

寝ても醒めても、頭から離れないものがある。それは残影になって、私の頭を支配していた。 ピンと立った耳に、フサフサの尻尾の先は、ウエストのゴム部分からはみ出ている。いたいけな生き物は、今にも触って欲しいとばかりに私へ呼びかけていた。 潤んだ目は何を訴えているのか。 (はて。一体この生き物は何だろう……) 魅惑的な生き物の名前や生態は、私の脳みそには記憶されていないようで、疑問符だけが埋まっていた。 (触りたい。暴きたい。正体を掴みたい) だが、やろうとすると、身体がうまく動かなくなるのである。全身体が拒否しているようだった。実に不思議な現象は、繰り返し繰り返し、私の身に起こる。 もっと南へ行きたい。雪で埋まった街には用が無いと分かっているのに、行動にすら移せない。 重くなった足を引きずり、2時間に1本の電車に乗った。今日はどこまで行けるだろうか。 いつか、いつか、心を支配する謎のもふもふを暴くべく、私の探求は続くのである。 猛吹雪の窓を眺めながら、絶対に見つけてやると私は決意した。

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