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7.わんこの躾
「待て」
クゥゥゥゥーン。
待てをされてしょぼんってなっている瑛良と手で瑛良を制している俺。
理由は燈夜に躾をする様に言われたからだ。
「人前ではどうするんだっけ。覚えてるよな?」
抱き着きたくてウズウズしている瑛良に問いかける。
「………………」
何も言わない瑛良に再び
「燈夜に言われた事忘れてないよね?」
問うと
「無闇に抱き着かない。ベタベタしない。普通の態度で接する」
渋々口にした。
うんうん、きちんと覚えてるじゃないか。
なら何故実行出来ない。
「分かってるなら人前での距離感を覚えろ。話し掛けるなとは言わない。されたら寂しいしな。だが、無闇矢鱈と接触するな」
あっ、泣きそうな顔してる。
「だって蒼空良い匂いするし、柔らかいし、ギュッてしたい」
子供か。
「だめ?」
可愛らしく聞かれ
「…ぅっ」
キュンキュンする俺はダメ飼い主だ。
「まだ待てしてなきゃだめ?」
ちょっ、あんまり可愛い顔でこっち見んな。
滅茶苦茶ナデナデよしよししたくなんだろ。
「蒼空」
弱々しい声色で尚且つ微かに潤んだ瞳で見られたらアウト。
「あ~もぉ、来いよ瑛良」
待てを解除すると
「んっ、ぁ」
奪う様なキスをされた。
ちょっと待て、此処教室。
まさかキスされるとは考えてなかった為、完全に気を抜いていた。
あっという間に
「ん、ちょっ、ぁ、待って」
気持ち良さで力が抜けた。
抵抗しようにも力の差あるし、脱力した今では全く腕の中から抜け出せない。
どうして良いか軽くパニクっていたら
「ほんっとお前等馬鹿だな」
ペチンッ、燈夜が瑛良の頭を叩いた。
「痛い」
頭を抑えながら恨みがましく燈夜を睨む瑛良に
「あんまり駄犬だと蒼空に嫌われるぞ」
低くて怖い声で告げた燈夜。
「お前が嫌われても構わないのなら良いが、嫌ならきちんと言う事を聞け」
あっ、泣いた。
「嫌われるのヤダ。蒼空に嫌われたら寂しい。俺嫌われたくない」
「なら、分かるよな?」
「ごめんなさい」
俺と燈夜に謝る瑛良。
おお、凄いぞ燈夜。
一度厳しく言われたからか、俺に嫌われるのを阻止する為か、瑛良はゆっくり人前で以前の行動を取る様になった。
が、やはり甘えたは直らない。
基本俺の側に居たがる瑛良は俺から離れたがらない。
何処に行く時も着いてくるし、連れて行きたがる。
だからその時は心を鬼にして叱るのだが、泣きそうな顔になるから、仕方なく誰も居ない所に移動させてキスしてやる。
それでも言う事を聞かない時はフ〇ラして飲んでやるが、そのまま続きをしたがるから用事が終わったらしてやるって約束すると素直な良い子になる。
って、ん?
俺甘過ぎ?
これじゃ躾になってなくね?
案の定
「馬鹿か」
燈夜に呆れられました。
躾難しい。
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