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第7話
ピーンポーン
とりあえず目に見える物は物置にしまって、その場しのぎの片付けをしているとインターホンのなる音がした。
「こんばんは」
「早野さん!早かったですね」
「うん、仕事でたまたま近くにいてね」
「そうだったんですか。お疲れ様でした」
そう言って荷物を受け取ろうとすると少し考え込んでにっこりとうなずいた。
「なんかいいね、新婚さんみたいで」
「っな!え、あぇ?新婚さんって…!」
「ぷっ、慌てすぎだよ」
急に言われたことに声を裏返して反応すると吹き出して笑われてしまった。
ごめんごめん冗談だよ。とまだ笑いながら言う早野さんに、揶揄わないでください!と焦って言うとそれでもまた笑われた。
確かに早野さんがこの家に来るのはもう数えきれないほどになっていて、自然と荷物受け取っちゃったりなんかしてるけど、し、新婚さんだなんて…
だめだ、顔赤くなってる自覚がある。
「あ、はやののおにいさんだ!」
「お、幸。電話ありがとうな」
「えへへ」
そんな空気を誤魔化すかのように幸が部屋から飛び出してきて、早野さんは幸の頭を撫でるとそのまま引っ張られて部屋に入っていった。
顔の熱を覚ますためにしばらく玄関でボーッとしていると、すぐに幸の呼ぶ声が聞こえて中に入る。
「ぱぱーおなかすいた!よるごはんなにー?」
「今日はお鍋だよ。寒いからね」
「雪が降るなんて相当だからな」
「そうですね」
どん、とテーブルに鍋を置くと三人で箸をつつく。
はじめは早野さんが幸に面白い話をしたり、うんちくを語ったりいつもの穏やかな雰囲気だったが、急に幸がまたもや爆弾発言を落とした。
「はやののおにいさんは、いつひっこしてくるの?」
「えっ?!」
「そうだな〜俺はすぐにでも一緒に住みたいんだけど、その前にぱぱを落とさないといけないからな」
「えっ?!」
「えぇ〜ぱぱなにしてるのー?」
「えっ、二人ともなんの話してるの?」
え?え?と、二人の顔を交互に見ていると、幸がムッとした顔で見てきて余計にわからない。
混乱している俺に早野さんが近づいてくると耳元でこう言った。
「好きだよ」
どうやら今日は長い夜になりそうです。
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