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逢瀬17
「どっちがいいなんて、聞くまでもなかったか。だってはるくんは、俺を選ぶだろ?」
手荒に掴んでいた前髪から手を外して、青年のシャープな頬をなぞるように撫でた。すると怒りなのか悲しみからなのか、少しだけ震える口内の様子を指先に感じた。
(必要のない感情を吹き飛ばす、いいコトをしてあげようじゃないか。イキたくて堪らない、感覚を追いかけるようなプレイをしなくちゃね)
「さぁベッドに戻ってもらおう。いいコだ」
首元を縛っている紐を引っ張ってベッドに誘導すると、落胆した顔のまま素直について来た。ベッドに到着する寸前で手荒に紐を引っ張って、うつ伏せに寝かせる。
「うわっ!」
「そのままケツを突き出せ、もたもたするな」
「……変な薬を使うのはやめて下さぃ。それ以外のことなら、なんだってしますから」
高橋が命令したことを無視して、捨てられた子猫のように背中を丸めながら、躰を縮こませて振り返った青年が哀願した。
「へぇ、そんなことを言うんだ。どうやらはるくんはお友達に、自分が映っている卑猥な写真を見せたいと思っているらしいね」
「それは絶対に嫌です! でも薬を使うのも嫌なんです」
「あれも嫌、これもイヤなんて言える立場じゃないのにな」
言うなり傍らに置いてあったそれを、青年の口に無理やり突っ込んだ。
「ぐうぅっ!」
「ほらほら、もっと咥えこんで濡らしてくれよ。これを使って、下のお口に突っこむんだから。ワガママばかりを言う口を塞ぐことにもなって、これはこれで一石二鳥だね」
高橋の手によって仰向けにされた青年は、強引にねじ込まれるバイブを喉の奥まで入れられ、苦しさに喘ぎながら躰を震わせた。
「お前には最初っから、拒否する権利がないって言ってるだろ。俺が要求したこと、すべてを飲み込むんだ」
「ぅうっ、ん……くっ」
やがてきつく閉じた瞼から、筋を引いて涙が零れ落ちた。止めどなく溢れる涙を見て、高橋は考えた。
この涙を、歓喜のものに変えてやろうと――。
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