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枕元のプレゼントがありません!②
怖いのに、腰に力が入らなくて涙で目頭が熱くなる。
「ううう。き、嫌い。私に触れたら」
「触れたら?」
ベットに片足を乗せて侵入してこようとした瑛くんを睨みつけて、指をさしてわめく。
「大声で泣いて、一生好きにならないんだから!」
「そ、それに、会社でもキミが来たら逃げて逃げて、早退とかしちゃうよ!」
「あ、あと、もう名前でも呼んであげな――ひっ」
私が色々と言っているうちに、瑛君はベットに乗った後、私の右足を持ち上げて、唇を寄せた。愛しく優しく、尊ぶような美しい口づけだ。
「でも、もう俺は貴方のものですし、一回使っちゃったんだから返品不可ですし」
使っちゃったって何か言い回しが違うような?
「俺は、胡蝶ちゃんからパパへのプレゼントですから。要らないとなると胡蝶ちゃんの気持ちを蔑にしちゃいますよ?」
「胡蝶ちゃんが、何で君を」
とりあえず、足を離してほしい。何も纏っていない私が、足の間を手で隠すのは、頼りないし恥ずかしい。
「母親は一人しか認めたくないけど、パパの恋人ができたら祝福してあげたい。だったら、掛け算の右側ならいいって。胡蝶ちゃんには、会って数秒で俺の気持ちはばれました。ってか、俺、蘭丸さんの前では隠したことないのに」
だから掛け算の右側ってなんだよ。
胡蝶ちゃんが彼女はダメでも彼氏を許してくれるなんて、きっといっぱい葛藤があったと思うから我慢するけど。
「あまりにも欲しくて、無理やり甘くベットに持ち込んだのはすみません。でも、――サンタだってプレゼントが欲しかったんです。今も、完全に手に入ってないんだから不安です」
「まぁ、流されちゃった私も悪いしね。うん、でも、プレゼントはもっとちゃんとしたのが欲しかったな」
「そんな事言ってたら、貴方は一生恋愛なんて出来ませんから」
なぜ彼には見透かされているんだろう。私はまだ、彼のことは仕事中の彼しか知らないのに。
とうとうサンタの瑛くんは、ごちゃごちゃうるさいと私に、息も出来ないような甘い口づけをくれた。
とろんとしてしまった私は、そのまま流されるようにお風呂へ連れて行かれた。
お風呂は逃げ回り、剃刀を片手に暴れまわりなんとかセクハラはされず、身体は死守した。
優しいサンタさんは私の枕元にプレゼントをくれなかったが、風呂から上がるとバスローブの上にネクタイと指輪が置かれてあった。
「両方、貴方を縛りたいって意味ですよ」
そう言って跪き私の足に口づけする瑛くんは――やっぱり変だ。
それなのに、ちょっと余裕がない顔で言う瑛くんがなんとなく可愛くて。ほだされて流されてしまった私は、瑛くんの額にキスをした。
FIN
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