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6.「水」と「水」のように。
高校を卒業すると数多は宣言通り家を出た。伯父の灯の家での共同生活を始める。勿論就職が決まったのでこの形に収まった。両親の了承も得ている。
「今日からお世話になります」
「よろしくね」
家に来た甥とそれを向かい入れる伯父。新生活はその挨拶から始まった。二人は空気が合う。数多はすぐにその家の人間になった。何もかもすぐに馴染む。その家の家具もその家の主、灯の習慣にも。
「また釣りに行こうか?」
「また“あれ”使うんですよね?」
「そうだよ」
「それは勘弁してください」
「虫、苦手?」
「はい」
「わかった。じゃあ別のことしようか。何する?」
「任せます。“灯さん”に」
「数多……」
伯父の灯とは肌が合う。彼の低い声も、手の感触も数多には心地よかった。リードされて深いキスの仕方も覚えた。感じる場所も――愛撫されて。
「灯さん……灯さん」
啼き方も。
誰も知らない所で二人は愛を育んだ。
水と水のように溶け合いながら。
【完】
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【あとがき】
お読みいただきありがとうございます。
他人からは「何を考えているのかわからない」と言われてしまう二人ですが、この似た者同士な伯父と甥の恋路を楽しんでいただけたら幸いです。
【捕捉】
数多が灯といる時の場面だけ描写を細かくしました。意識している人と居る時は景色が鮮やかに目に映り、記憶も鮮明に残ることを表現しています。
【タイトルについて】
いつも飄々としていて何を考えているのかわからず、欲がなく、異性にも興味を示さず、でもそれが何故かを模索することもしない。そういったマイペースな生き方をする少年を描いたので。
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