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【Side S】
ふたつのアーモンド・アイが、気怠げな瞬きを繰り返しながら不思議そうに俺を見上げてくる。俺は手に持っていたそれをさりげなく背中に隠し、ゆっくりと息を吐いた。
「理人 さん、寝てたんじゃないんですか……」
「寝てた、けど起きた。なにやってたんだよ?」
「別になにも?」
「嘘つけ。今なにか隠しただろ」
「隠してません」
「隠した!」
ついに理人さんが上半身を起こして、俺に詰め寄ってきた。でもすぐに全身を震わせたと思ったら、小さくくしゃみする。
「ああもう、風邪引きますよ」
めくれた毛布を引っ張り上げ細い身体に巻き付けると、理人さんの唇が尖った。への字口がへの字のままモゴモゴ動く。
「なんで教えてくれないんだよ……」
ああ、これはまた勝手に〝あることないことをぐるぐる考えちゃってる顔〟だ。まったくもう……計画が台無しだけど、しょうがないか。
「恋人がサンタクロース」
「は……?」
「一度やってみたかったんです」
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